管理栄養士のmafiです。
最近、地域づくりの風土が地方で広がってきています。
【こども食堂】
子どもやその親、また地域の人などの不特定多数の人が、家庭的な団らんを交えながら、栄養ある食事を一緒に食べる取り組み
【居場所サロン】
地域の高齢者が集い、レクリエーションを楽しみながら介護予防や、食事・交流のできる場を運営する取り組み
これらの場所は利用者から少量のお金を徴収しながら食事を提供しているにも関わらず、世論も住民も『営業許可証』については、あまり意識が向ていないように感じます。
だけど、食品衛生は利用する人の命を守る、とても大切な部分。
そこで簡単にまとめてみますので、
- 今、福祉目的のサロンを運営している人
- これから福祉目的のサロンを運営しようとしている人
そのような方々に参考にしてもらえたら嬉しいです。
食事を提供する以上、『営業許可証』が必要です
営業許可証の必要性は、調理された食事を、利用者からお金をもらって提供する以上、どのような団体でも許可証が必要です。
また金額が高い、食数が多い、少ないの判断ではなく、「何を提供するか」という提供する食事や食品の中身によって、営業許可証の種類が変わります。
しっかりお金を取るから、ちょっとしかお金を取らないから、など徴収する金額で判断するのではないんだね。
つまり、こども食堂や高齢者のサロン・居場所でも、提供する食事の内容により、『営業許可証』が必要です。
どの『営業許可証』が必要なの?【広島市は必要】
許可証の種類は、提供する食べ物の種類で変わります。
ここで参考にしたいのが広島市の保健所の例です。
この中に、営業許可の必要性の判断例として、
例1)インスタントコーヒーをカップに入れて、湯を注いで提供、お茶を急須で入れて提供する = 調理行為に該当 → 許可要
例2)缶コ-ヒーを、カップ等に入れずにそのまま提供、菓子や菓子パン、食品製造施設で作られたお弁当などを、そのまま、 又は容器のまま電子レンジで加温して提供する。 = 調理行為に非該当 → 許可不要
と書かれています。
つまり、調理行為があるか、ないかで、営業許可の必要性が変わります。
そして、
■ 食品衛生法に基づく保健所の許可が必要な場合(調理行為を行う場合)
〇コーヒー、紅茶などの飲み物のみ(トースト程度は可)を提供する場合:喫茶店営業の許可が必要
◎うどん、スパゲッティ、オムライス等の食事を提供する場合:飲食店営業の許可が必要
と書かれており、
飲食店営業許可:食事
喫茶店営業許可:飲み物+トースト程度
と、食事を提供する場合は、飲食店営業許可を推奨されています。
これを地域で行われていることにとらえなおしてみると、
- 自分たちで作ったおにぎり、サラダ、卵、買ったパン、スープなどの食事を盛り付け提供している→『飲食店営業許可』
- コップにインスタントコーヒーとお湯を注いでいる、お茶を急須で入れて提供、食事はなし・既製品の菓子・自分たちで作った菓子・飲み物のみ→『喫茶店営業許可』
- 缶コーヒーをそのまま提供、買ったおにぎり・弁当を容器は変えずそのまま電子レンジ等で加熱して提供→許可証の必要性なし!
注意してもらいたいことは、既成品のインスタントコーヒーを開封し、やかんに水を入れて沸かす、これらの簡単な行動でも、立派な調理行為になることです。
そもそも、なぜ営業許可が必要なの?
【営業許可】という、なんだか名前を聞いただけで、役所に行かなければならないと気重感があり、お金や時間がかかりそうなイメージですよね。
許可を得るには、生活衛生課、食品保健課、保健衛生課など市町によって名前の変わる、食品衛生を担当する部署に連絡をすることから始まります。
担当課に行くと、きっと食品衛生の注意点などの話を聞くことになると思います。
- 手洗いを2回した方がイイ
- 調理したものは、短時間で10℃以下に
- 生野菜はしっかり洗おう
- 前日調理は控えて
など、普段の家庭ではしていないことを厳重に言われ、『そこまでしなくたって!』なんて思うかもしれません。
でも、家庭以外の場所で調理し食事を提供することが、家族以外の人の命を預かることになる、そのことを一度考えてみてもらいたいのです。
『営業許可証』は自分と組織、また食べる人を守るため
外で食べる食事は、作る人の顔は見えにくいものです。
洋食屋やファミレスなど、作っている人の顔や調理環境は見えないことも多々あります。
顔が見えない場所だからこそ、一定の食事の衛生を保証する意味で『営業許可証』をとって欲しいと僕は思っています。
また行政の専門課から衛生管理の最低限の基準が満たされているか確認をしてもらうことで、自分たちを守るための一つの指標にもなるんです。
そして、教えてもらった必要な衛生基準を自分たちができる範囲で工夫し、守ることが、食中毒を防ぐために必要なことです。
食中毒を防ぐために必要なこと
- 最低限の基準を満たし、『営業許可証』を取得すること
- 必要な衛生基準を自分たちができる範囲で工夫し、守ること
営業許可証を取得することで、最低限の衛生基準を満たしている証明になります。
福祉目的の飲食提供の基準
基本的には、食べ物を提供することでお金を得る行為は、何らかの営業許可書が必要になります。
しかし市町によっては、福祉目的の飲食提供をする団体のために、独自の基準を作っているところもあります。
岡山県【必要ない】
岡山県ももちろん、食事を提供する以上は営業許可が必要だと認識されているはずです。
だからこそ、
- 補助金を使った高齢者への配食サービス
- 認知症カフェ
- 社協が実施する居場所、サロン
- こども食堂
などについては、一定の衛生基準を守ってもらうことで『飲食店営業』許可証は必要ない、としています。
群馬県【必要ない】
群馬県も、岡山県と同様に、一定の衛生基準を守ってもらうことで『飲食店営業』許可証は必要ない、としています。
大阪府【必要ない
大阪府も、同様に、一定の衛生基準を守ってもらうことで『飲食店営業』許可証は必要ない、としています。
高知県【必要ない
大阪府も、同様に、一定の衛生基準を守ってもらうことで『飲食店営業』許可証は必要ない、としています。
札幌市【相談】
札幌市では、
また、食品を提供する事業を行う場合、営利性の有無にかかわらず、食品衛生法に基づく許可が必要となる場合があります。
福祉食事サービスを実施する場合は、あらかじめ、各区保健センター健康・子ども課又は札幌市保健所食の安全推進課、広域食品監視センターまでお問い合わせください。
個別に相談が必要のようです。
広島市のように一概に判断することができない、という事情がありそうです。
明石市【必要】
明石市では、福祉目的の食事提供をする人は、事前に届け出が必要になっています。
届け出て指導を受けておけば、営業許可は必要ないそうです。
などなど
こども食堂や認知症カフェを開くなら欠かせない【参考書】
以下をご紹介。
地域で愛される子ども食堂 つくり方・続け方
子供食堂の開業から資金集め、注意点などの記載がしてあるので、一連の流れを把握できる本。
実際の開業経験者としての悩みと解決した方が書かれているので、これから子ども食堂を始める人は読んでおきたい本ですよね。
認知症カフェ読本: 知りたいことがわかるQ&Aと実践事例
認知症カフェを始める前に読んでおきたい本。
さまざまな事例が掲載されているので、アイディアが湧くはずです。
「始めるための10ステップ」を参考にして開業支援をする行政も増えています。
まとめ
市町や県によって、これだけ取り扱いに幅があります。
でも取り扱い条件が厳しいのは、「市」が方針を出した自治体ですね。
県や府は、比較的優しい気が・・・
まずは、「自分の県」と、「福祉目的の食事」、「衛生基準」などで検索してみてください。
そのあと「自分の市」もしくは、事業の担当職員に聞いてみることをオススメします。
どうぞ、有意義な運営をなさってください。