管理栄養士

管理栄養士と栄養士の違いが分からない人へ【誰でもわかる解説】

管理栄養士のmafiです。
今回は、管理栄養士と栄養士の違いについてまとめてみたいと思います。

この2つの資格、名前が似ているし、しかも呼び名が同じ「栄養士」なので、職種として混同されることもしばしば。
でも、管理栄養士と栄養士では、携わることができる業務内容には、明らかな違いがあります。
そこで今回は、管理栄養士と栄養士の違いについて、誰でもわかるようにかみ砕いて解説してみますので、良かったら参考にしてください。

管理栄養士と栄養士の違い→個人の生活課題・病態に対応可否

ではまずは、「管理栄養士」「栄養士」の違いについて、分けてみます。
管理栄養士と栄養士の違いについては、「栄養士法」という法律に、それぞれの役割が書かれています。

  管理栄養士 栄養士
健康な人・集団への対応
病気がある人・集団への対応 ×
健康であるが、「栄養改善」の視点からの栄養指導が必要な人への対応 ×
不特定多数の人へ、大量に調理する
特定多数の人へ、大量に調理する
特定多数の人へ、「栄養改善」を目的に大量に調理する過程や調理済食品を管理する ×


大きな違いとしては、

  1. 個人の身体状況、栄養状態に応じた高度なアドバイス
  2. 病気に関するアドバイス

をすることができるのは、「管理栄養士」です。
栄養士は、この2つの業務は仕事の範囲外なので、注意してくださいね。

栄養士とは

栄養士、管理栄養士という資格については、「栄養士法」という根拠法に仕事内容がまとめられています。

昭和二十二年法律第二百四十五号
栄養士法
第一条 この法律で栄養士とは、都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者をいう。

第六条 栄養士でなければ、栄養士又はこれに類似する名称を用いて第一条第一項に規定する業務を行つてはならない。

簡単に書くと、「栄養士」は、栄養指導に従事することができると書いてあります。

mafi
mafi
でも、「栄養の指導」って何だろう?

栄養指導とは?

まずは栄養とはですが、

えいよう【栄養 nutrition
生物は外界からとり入れた種々の物質を材料にして体の構成物質を作り、また体内で物質が分解するときに生じる化学的エネルギーを利用してあらゆる生活活動を行っている。このような体外からの栄養物質(これを栄養素という)の摂取体内でそれを利用する過程を栄養という。
※世界大百科事典 第2版の解説

つまり、活動に必要なエネルギーを得るために、食べ物を体内に取り入れることについて、指導ができます。
ってことですね。

「管理栄養士」も「栄養士」も栄養指導を行うことができるのです。

管理栄養士とは

では、「管理栄養士」の仕事内容はどのようなものでしょうか。

昭和二十二年法律第二百四十五号
栄養士法
第一条
2 この法律で管理栄養士とは、厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導、個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導並びに特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導等を行うことを業とする者をいう。

第五条の五 管理栄養士は、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導を行うに当たつては、主治の医師の指導を受けなければならない。
第六条
2 管理栄養士でなければ、管理栄養士又はこれに類似する名称を用いて第一条第二項に規定する業務を行つてはならない。

この内容をわかりやすく書いてみると、この表になります。

  管理栄養士 栄養士
健康な人・集団への対応
病気がある人・集団への対応 ×
健康であるが、「栄養改善」の視点からの栄養指導が必要な人への対応 ×
不特定多数の人へ、大量に調理する
特定多数の人へ、大量に調理する
特定多数の人へ、「栄養改善」を目的に大量に調理する過程や調理済食品を管理する ×

管理栄養士は、

  • 病気を持つ、個人、集団の人への対応ができる
  • 高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導
  • 特定多数の人に対して「栄養改善」の目的を持つ食事を提供することができる

管理栄養士の方が、伝えること、仕事としてできる内容がとても多いですよね。

管理栄養士の「高度」とは?

管理栄養士の仕事として、栄養士法に「高度の専門的知識及び技術を要する~」という言葉があります。
この高度とは、国家試験の合格を指します。

管理栄養士になるには、国家試験の合格が条件ですが、

  • 管理栄養士養成課程の大学を卒業している
  • 栄養士として勤務実績が3年以上ある

このような人が国家試験を受験することができまるのですが、そもそも管理栄養士養成課程栄養士養成課程の大学では、勉強する科目が違います。

 
管理栄養士
栄養士
社会・環境(人間や生活)と健康
人体構造と機能、疾病の成り立ち
食べ物と健康
食品と衛生
基礎栄養学
応用栄養学
栄養教育論
△(似た科目)
臨床栄養学
公衆栄養学
給食経営管理論
△(似た科目)
総合演習


栄養士養成課程の大学では、臨床・保健・基礎栄養・応用に関するカリキュラムが組まれていないことがわかります。
この部分を、実務経験を積んでいる栄養士であれば、大学で学んでいなくても現場で学ぶことができるだろう、ということで、3年間の実務経験があれば管理栄養士の国家試験を受験できることになっています。

つまり、管理栄養士の「高度」とは、臨床・保健・基礎栄養・応用に関しての知識を指していると言えます。

管理栄養士と栄養士の現場での業務差・違いは?

では、実際に現場で管理栄養士と栄養士では、どれくらいさがあるかまとめてみます

  管理栄養士 栄養士
健康な人向けの献立(健康アップ!など)
「健康増進」の観点
病気、アレルギーの人向けの献立 ×(高度の専門的知識)
特定の栄養成分が多い献立(カルシウムたくさん!)
栄養成分が体に与える影響まで考えた献立(カルシウムの吸収が高まり、骨粗しょう症予防ができる献立) ×(高度の専門的知識)
減塩の献立(健康な人向け)
減塩の献立(高血圧症の人向け) ×(高度の専門的知識)
健康な人が、さらに健康を高めるための栄養相談
病気がある人の栄養相談 ×(高度の専門的知識)
スポーツ選手の健康を高める栄養相談
スポーツ選手の栄養改善を目的とした栄養相談 ×(高度の専門的知識)
健康な人へのサプリメント指導 ×(高度の専門的知識)
食堂(不特定の人向け)の運営
施設や病院(特定の人向け)で、調理する
施設や病院(特定の人向け)で、献立を作る △(施設・病院内容により高度の専門的知識)
病院で病気に対する栄養指導 ×(管理栄養士しか点数は取れない)
施設で、健康を高める栄養指導
施設で、特定の入所者に対し、栄養改善の栄養指導 ×(高度の専門的知識
高齢者の自宅を訪問し、ケアプラン内容に応じた栄養指導 ×(高度の専門的知識
商品開発全般

栄養に関する業務は、世の中にとても多くあります。
「管理栄養士」であれば、それらの栄養に関するどんな仕事でも従事することができます。
しかし「栄養士」については、個人の身体状況、栄養状態に応じた高度なアドバイスや、病気に関するアドバイスをすることはできないので、管理栄養士に比べ、ずいぶんと仕事の幅が狭まります。

就職の差

また管理栄養士と栄養士の資格には、業務内容の差の他に、就職にも差が生じてきます。

【行政】
  • 常勤は「管理栄養士」
  • 「栄養士」は非常勤で献立の立案や集団の前で健康教育、常勤では学校給食等の厨房内業務
【病院】
  • 常勤は「管理栄養士」
  • 「栄養士」は厨房業務
【福祉施設】
  • 常勤は「管理栄養士」「栄養士(食数が少ない、健康な人が対象の施設などの場合)」
  • 「栄養士」は厨房業務
【保育所】
  • 常勤は「管理栄養士」「栄養士(食数が少ない場合など)」
  • 「栄養士」は厨房業務

「栄養士」は、病気を持った高齢者や、アレルギーのある子供への対応などが難しいこともあり、ほとんどの栄養士の必要性がある職場では「管理栄養士」が常勤になりやすいです。

つまり、「管理栄養士」であればどんな仕事も従事することができるので、もし将来就職したい業界が決まっていないのであれば、「管理栄養士」をとりあえず取得しておくことをオススメします。

お金の差

また、給料についても差が生まれます。
公務員の初任給のスタートを例に例えると

管理栄養士:18万5000円
栄養士:17万3500円

管理栄養士には、管理栄養士手当てがつくので、スタートから1万円の差があります。

20代のころは、この差も微々たるものだと思っていても、
ボーナスを含めない給与で考えたとしても年間で12万円、10年間で120万円、60歳の定年まで働いたとしても480万円の差になります。
この額にボーナスや退職金が関係してくると、2000万円以上の生涯年収の差です。

心の差

あと、僕が一番感じているのは、管理栄養士と栄養士の心の差です。

僕の職場には、栄養士・管理栄養士で構成された小規模のグループが出入りしています。
そのグループの栄養士さんが、いつも僕に愚痴のように言う言葉があります。

栄養士
栄養士
私は管理栄養士ではない、ただの栄養士だから、みんなの雑用ばっかり。業務に対して「こうすればいいんじゃない?」とアドバイスしても、『栄養士が、何を生意気なことを言っているのか』という目で見られる。同じ仕事をやっても、もらえるお金は少ない。

やっぱり、栄養士の人からすると、カッコいいなと思う仕事は、管理栄養士が取って行ってしまうのでしょうね。
行政の仕事の多くも、管理栄養士と栄養士では、委託料も違います
それに、管理栄養士の多くの人は、「自分は管理栄養士だ!」という強いプライドを持っています

この職種が偉い、偉くない、そういう問題ではないのに、こういう思いの差が、現場では日常茶飯事で起きています。

差を縮める動きもある

管理栄養士と栄養士にはこのような差がある一方で、管理栄養士と栄養士で一緒に仕事をしていこう、という取り組みも始まっています。

栄養ケアステーションという、取り組みです。
管理栄養士と栄養士が小規模のグループになり、栄養士会に申請することで、「栄養ケアステーション」という名称をもらえて、その名で活動できるというもの。

このグループは、1人の相談者の課題を、管理栄養士と栄養士が協力して解決することが目的です。

×:この人には、管理栄養士しか対応できない

というのではなく、

○:この人のこの課題の部分は、栄養指導が得意な管理栄養士が関わろう。でも調理と買い物の部分は、栄養士さんで。

得意分野で課題を分けて、1人の相談者の課題をチームで解決するのです。
僕が携わっている介護保険の世界でも、ケアプラン検討会やC型の短期間スキルアップ事業など、個人の課題を多職種のグループで改善しようと、いう考えはものすごいスピードで広まっています。

管理栄養士
管理栄養士
あの人は栄養士だから、この業務はできない

なんて、栄養士を低い目で見る管理栄養士は、きっと時代に置いて行かれます。
携わる専門職の得意分野を把握して、利用者の理想を叶えてあげるために、マネジメントして行かなきゃね。

まとめ

ということで、管理栄養士と栄養士の違いをまとめてみました。
僕の個人的な主観も十分入っていますが、良かったら参考にしてくださいね。