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高齢者が飲み込めない原因は、しっかり口を閉じることができないから【口だって年を取る】

管理栄養士のmafiです。

相談者
相談者
高齢の母が、食欲が低下してきたのですがどうしたのでしょうか?

と相談を受け、実際に高齢者に会いに行ってきました。

mafi
mafi
食欲を高めることは、管理栄養士の仕事です!

食べれなくなった=年をとったせい、だと思われているかもしれませんが、年をとったって食欲があり、100歳以上生きている高齢者は今の時代たくさんいます。

僕の町の100歳以上の高齢者は、2018年度は400人以上。

とにかく長生きしている高齢者は今の時代に多い!

 
だから、食欲の低下は単に年齢のせいではありません。

じゃ何が原因か。

食欲が低下する理由はもちろん人によって様々だけど、今回はお口に原因があった話。

 

食欲低下は、調子が悪くなり切ってから気づくもの

 

  • 最近、食事が喉を通らなくなった
  • いつの間にか体重が減っていた
  • 病気や精神的なストレスがあったけど、その時は体のことなんて気にしていられなかった

 

残念ながら、「食欲低下」は食欲がなくなりつつある進行形のときに気づく人はほとんどいません。

なぜなら、「食欲」ではなく別のことに関心が言っている時期だからです。

そのため多くの人は、調子が悪くなり切って「食欲がなくなった」ことに気づく。

だから気づいた時には、食欲低下から体に様々な症状が出ているんだよね。

周りが気づく必要がある

僕がおばあちゃんに会いに行ったとき、彼女は台所の椅子に腰かけていた。

優しい雰囲気の、落ち着いたおばあちゃんだった。

mafi
mafi
楽しみは何ですか?

と聞くと、百貨店に友達と買い物に行き、上階のカフェでみんなとお茶をするのが楽しみだという。

 

しかし最近食欲が無いのでは?と友人にも家族にも言われるようになったそうだ。

百貨店の食事を食べきることができなくなったらしい。

少し話をしていると、口から入れ歯がカパカパと音を出す。

元々は口に合っていた入れ歯をしていたけれど、口の中の歯茎などが細ってしまって、入れ歯が合わなくなっている状態だろう。

口を閉じることはできているけれど、どうやら唇にはあまり力が入っていないようだ。

正しい口の閉じ方ができていない。

人は、口を閉じないと飲み込めない

そもそも人が飲み物を飲み込むためには、口を閉じて、舌を上の前歯に引っ付け、息を止めながらゴクン、とする必要がある。

この一連の行動ができないと、飲み込みってできない。

実際に飲み物を口に入れて、口をカパット開けたまま飲もうとしてみて欲しい。

ちょっと難しいでしょ?

上を向いて、ごっくんしたくならない?

高齢になって上を向いて飲み込むとご縁しやすくなる。

また飲み込みに必要な様々な筋力が弱ってくるので、さらに難しくなる。

食欲低下は飲み込めないことが原因

実は飲み込みが上手くできないと、食事が怖くなる。

飲み込みの時に気管支に入り、咳き込むようになるからだ。

気管支に入るとしんどいし、痛いし、食事に時間がかかり、食事が憂鬱になる。

 
僕たちだって、咳き込むことがあるだろう。

咳き込んだ後は、少し食事も時間を空けて食べようとするはずだ。

その手間が、このおばあちゃんには毎回起きている可能性がある。

本人には自覚がない

おばあちゃんに、飲み込みにくいかどうか聞いてみた。

すると、「普通だ」という。

そして「年を取ったから、仕方がない」とも言葉を重ねる。

そう、今の状態が改善できるなんて夢にも思っていないようだ。

人には、年齢に合った食べ方・飲み込み方がある

乳児には離乳食を与えるだろう。

これは口の中の状態と、消化機能の状態を考えて作られる食事だよね。

乳児には自分で食事を作り選ぶ能力は無いけれど、高齢者や成人には食事を作り選ぶ能力はある。

 
だからこそ高齢者や成人だって、自分の口の中の状態と消化機能の状態を考えて、食事の形態を選ぶ必要があるのだ。

乳幼児から成人になるにつれて、柔らかい食事から少しずつ噛み応えのある食べ物に変わってきたはずだ。

口が弱ってきたのであれば、自分の口の状態に合わせて、食べられる食べ物を、食べることができる状態で食べることを考えよう。

楽しみを継続するために

おばあちゃんに、

mafi
mafi
食欲が戻ったら、何をしたいですか?

と聞いたところ、

友人たちと、また百貨店で食事をしたい

と話してくれた。

素敵な目標だよね。

この目標を叶えるために、僕が助言したことは2つ。

助言1:お口の悩みは覚悟を決めて歯医者へ

このおばあちゃんは入れ歯だった。

入れ歯の改善については、歯医者にお願いするに限る。

聞いてみると、もう3年も歯科に行っていない。

3年前から総入れ歯になり、歯医者に行く必要はなくなったと思っていたようだ。

お金はかかるけれど、自分で歯を治すことなんてできないから、入れ歯をお口の状態に合わせてもらって、しっかり噛める状態に改善しよう。

 

助言2:百貨店のレストランへお願いを

入れ歯が直ったら、食べる物も少し工夫しよう。

でも、柔らかい食べ物を選べとは言わないよ。

だって、好きなもの食べたいよね。

だから百貨店のレストランで好きな料理を注文するときに、一言こう言おう。

「これが食べたいんだけど、私、歯が悪くて」

するとウエイターが、

●切りましょうか?
●柔らかくしましょうか?

と聞いてくれるはずだ。

調理する方はプロなんだから、口の状態で恥ずかしがらず遠慮せず、良いように調理してもらおうじゃないか。

 

笑顔でありがとう

そして料理をしてもらった後は、「おいいかったわ、ありがとう」お礼を伝えて帰ろうね。

食べにくかったり自分が思う形態でなかった場合でも、“次回の食事ではこう伝えよう”そう自分の勉強だと思って、「ありがとう」

高齢者は性別に限らず、可愛らしいのが一番だから。

 

まとめ:僕の経験では、食欲低下の9割は歯に不具合

病気や精神的なことも食欲低下の理由の一つにあるけれど、でも合わせて歯にも不具合がある人が大概だと思っている

はじめに相談に来た理由は、最近起きた病気や精神的なことであっても、よくよく話を聞けば「2、3年前から入れ歯が・・・」と答える高齢者は、とても多い。

つまり相談に来た理由が生じる随分前から、口の状態の悪化は始まっていたということだ。

食欲がないならば、とにかく口の状態の確認が必要。

もちろん高齢者だけでなく、若い人でもね。