僕のところに、50代の娘さんが実家に住む80代の母親の相談に来た。
相談内容を簡単に言うと、
- 相談者の娘は、3人兄弟(本人、息子、話に出ない妹)
- 80代の母親は、息子夫婦と3人暮らし
- 80代の母親は要支援1、昨年腰椎の圧迫骨折をし2メートル程度歩くのもやっと
- 80代の母親と息子夫婦は、折り合いが悪い(3年前に大ゲンカ+息子が3歳くらいの頃から折り合いが悪い)
- 家にいるのがいたたまれず、デイサービスに逃げるように行く
- 家にいるのがいたたまれず、地域の居場所になんとか行っている
- 息子夫婦は何か頼まれても「めんどくせー」「なんで世話してやらなきゃいかんの」「ワシらは知らん」と、80代の母親への態度がとても冷たい。
- 最近息子と顔を合わせるのが辛く食事も減り、施設入所を考えている
どうにかいい方法はないかという相談。
どこにでもある家庭問題の延長介護
家族間で上手くいっていないことからの介護の相談はとても多い。
どこの家でも嫁姑問題がある。
どんなに仲が良くても、お金や同居によって関係が変わることは多々。
そして家庭問題の相談は、相談を受ける側もあまりにもニッチな内容すぎて、どう対応したらいいかわからない。
こういう話は、大概が保健師、社会福祉士、看護師などの専門職が受けているけども、僕は管理栄養士だけれども話を受ける。
そんな時の僕なりの対応の話。
要支援者相手にサービスをあてがうだけのケアマネは変えよう
要支援という介護認定を持ってサービスを使っているのであれば、必ずケアマネというサービス計画を考える人がつくはずだ。
そのケアマネが息子夫婦とどこまで関わりを持っているか確認をしたところ、1年間で1回会ったかどうかだという。
1年で1回?同居でしょ。そんな馬鹿な。
そんな家族と関わりを持たないケアマネは、すぐに変えよう。
介護認定を持つ人は、サービスをあてがい本人のできない状態を補うだけで課題は解決するかもしれないけれども、この人は自分のことはまだできている要支援認定者。
家族と折り合いが悪いのであれば、ケアマネとして家族と本人のフォローは欠かせないはずだ。
だって、この人の1番の生活課題は家族関係だから。
ケアマネ変えよう!勇気を出して、今すぐ変えよう
この人の生活課題をまず考えると、おそらくこのケアマネは圧迫骨折から身体機能が低下したことによりデイサービスにつないでいる様子。
身体機能の低下はもちろん生活課題だけれども、優先順位は2番目だと思う。
だってこの80代の母親の場合、身体機能が改善したからといって悩みが解決するわけじゃない。
家族関係の悩みから食事ものどを通らなくなっている。
それがわからないケアマネは変えよう。
変えよう、今すぐ変えよう。
ただ、家族関係修復は困難極まる
母親と息子夫婦の冷え切った関係は、今に始まったことではない。
さかのぼれば、息子が3歳だった頃からと言う。
当時この親子に何があったのかは知らないけれども、こんなに長い間冷え切った関係だったのであれば、途中で将来自分の世話をしてもらえないことなんて母親には想像がついていたことだろう。
家族関係の修復、というか関係構築はケアマネなどの第3者が積極的に関わらない限り困難を極めるだろう。
80代のお母さんはどうしたいの?
母親がどうしたいのか、相談に来た娘に聞いてみた。
「施設に入ろうと考えている」
と言うが、相談者である娘の話を深く聞き下げていくと『本当は家にいたい』ことがわかった。
そりゃ家にいたいよね。
出ていくのは母親?それとも息子?
家にいたいが、息子との関係が合わず出ていこうとしている母親。
だが、母親の年金は月に10万円程度のため行く施設も限られるため、すぐに決心がついていない。
しかし、そもそも母親が出ていく必要はあるのだろうか?
家や土地の名義は誰なのか。
母親名義であれば、出ていくのは母親ではなく息子夫婦だろう。
仏壇や墓の管理なども手放せばよい。
母親自身では管理できないのだから仕方がない。
土地と家を売ってお金にすれば、高級なサービス付き高齢者住宅に入れるだろう。
このままじゃお互いが不幸
何より、同じ屋根の下で同居する3人。
3年前にもケンカしながら付き合ってきたようだが、忌み嫌ったままではお互いに不幸だ。
少し距離を置いた方がいい。だから僕は、
・この状態を少しでも改善させるためには、家族の間にケアマネに入ってもらうこと
・母親は短期的にショートステイを利用しながら家族と距離を取ること
がイイのではないかと僕は思う。
ただし、ショートステイに行くためには宿泊グッズを準備することが必要だ。
80代の母親が、自分の服や下着、身の回りの品を一人で準備できるのだろうか。
できないのであれば同居の家族の支援が必要になる。
すると結局、家族と話をしなければならない。
そのためにも、家族の中に入ってくれるケアマネでないと、この件の対応は難しい。
まとめ:家族に面倒を見てもらいたいならば、見てもらえるように子供を育てなければいけないよ
そもそも、この家族がここまで揉めるまでにきっかけとなった機会は数多くあっただろう。
その機会、機会での対応の結果が、今のこの状態。
「将来、自分もこうなるかもしれない」と思った人は、今から子供への対応を考えておいた方がイイかもね。