管理栄養士のmafiです。
さて、先日僕が電話で受けた家族の身元保証人の問い合わせ。
電話で問い合わせてきたのは、親が今使っている、介護保険サービス事業所のケアマネでした。
施設等への入所で身元保証人について悩んでいる、本人や家族の方などは、参考にしてください。
ケアマネからの相談
[chat face=”man1.jpg” name=”ケアマネ” align=”left” border=”red” bg=”none”] 相談があるんです [/chat]
電話口のケアマネさんは、ちょっと疲れたような声だった。
[box04 title=”相談内容”]
- 施設に入所中の高齢者
- 別の施設(A施設、としておきます)への転居を考えている(状態悪化のため)
- 転居先の事業所に『身元保証人が必要』と言われた
- 実の娘がいるが、保証人になりたくないと言う
- 市が、身元保証人になってくれる制度はないか
[/box04]
いや~、ないです。
市に、身元保証人になるような制度はないです。
この人の場合、家族がいます。
家族がいる場合は、家族がなるものです。
でも家族との関係も聞かねばならないですし、まだこの結論を言うのは情報不足なので、アセスメントします。
本人の状態
- 要支援1の女性、軽度の認知症
- 年金は月に15万
- 現在の施設は、遠縁の姪が身元保証人になっている
- 高齢者本人は、身元保証人は民間でも、娘でも姪でも、誰がなってくれてもいいと思っている
高齢者本人には問題はなさそうです。
娘のこと
- 過去に母親に虐待されたことがあるので、保証人という形で関わりたくない
- 母親のお金を管理している
- 民間の身元保証をしてくれる会社に頼んでしまうと、お金を払うのがイヤ
- 安い施設にこだわっている(身元保証人が必要と言っているA施設)
- 身元保証人がいなくても、A施設に入る方法を探している
- 今後、法律相談に行ってみようと思っている
どうやら、今回の問題のキーパーソンは娘のようです。
娘は、母のお金が欲しい
娘の根本にあるのが、お金ですね。
この高齢者は、年金が月に15万ありました。
そしてその母親のお金は、娘が管理をしている。
娘が母親のお金を、娘自身のために使っているのでしょうか。
過去に虐待された経験から、仕返しのような気持ちもあるかもしれません。
となると、娘の世間に対する視野が狭くなっていることが考えられます。
母の状態を良くするために悩んでいるのではなく、娘は自分が使うお金を死守しようとしているのですからね。
僕は、認知症が進んだ母親がどうやったら上手く生活できるのか、という視点で助言しました。
これから書く視点は、娘の持てるお金を増やす視点ではありません。
身元保証人1:【原則】家族
身元保証人は家族がいるのであれば、家族が第一。
この高齢者の場合、娘がいます。
過去に娘は虐待をされていたようですが(どのような虐待内容か、また真偽は確認していません)、母親と関わりたくないのであれば、母親のお金も関係と合わせて放棄するべきです。
身元保証人2:司法書士や弁護士
もし身元保証人になる家族がいないのであれば、成年後見人を立てて、司法書士や弁護士等に身元保証人になってもらうようになります。
成年後見人って誰?
成年後見人とは、お金の管理や契約ごとなどを、本人が適切な判断ができないので第三者に変わりに管理・判断してもらう人を裁判所が決める制度です。
それだけ、本人の管理・判断能力がない証明になりますよね。
成年後見人に支払う額は、本人の収入や管理すべきお金、判断範囲などから裁判所が審判で決めることになります。
▼成年後見人等の報酬の目安
月額2万程度でしょうか。
だけど、身元保証人に関しては注意が必要です
成年後見人は身元保証人、身元引受人にはなることができません。
今回の相談の場合、母親のお金の管理を、娘から法的制度下(成年後見人)に持ってきた方が、後々揉めなくていいと個人的には思いました。
身元保証人は、司法書士や弁護士にお金を払うことで、身元保証人になってもらうことができます。
身元保証人3:民間のサービス
〇〇会など民間の身元保証人になってくれるサービスを利用する方法もあります。
民間の身元保証人になってもらうには、月に4,000~6,000円程度の費用が必要です。
娘さんは、お金の面でこのサービスを利用したくないようでしたが。
施設の思いは?
施設が身元保証人を要求しているのは、
入所者に何かあった(入院・死亡)ときに、ほおっておかないよ。
という安心が欲しいからです。
そうですよね、葬儀にはお金や手続きの手間がかかりますからね。
身元保証人がごねる時点で、『何かあった(入院・死亡)とき』に後々もめることは目に見えています。
でも施設は、「身元保証人がいない理由」で入居を断れない
ケアマネから娘さんの話を聞いて、
この娘さん勉強しているな~
って思ったのが、
- 今後、法律相談に行ってみようと思っている
と思っているというところ。
実は、こんな通知が厚労省から出ているんです。
▼老高発0830第1号 老高発0830第2号 平成30年8月30日 「市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について」
この通知には、
入院・入所希望者に身元保証人等がないことは、サービス提供を拒否する正当な理由には該当しない。
と書かれていて、今回の相談のように身元保証人がいない人にとっては盾になるような通知。
娘さんが法律相談に行ったとしても
[chat face=”man2.jpg” name=”相談員” align=”left” border=”blue” bg=”none”] 事業所が断るのはおかしいです。なぜなら、この通知があるからです [/chat]
なんて、実際にこの通知の話をすることになるでしょう。
でもこの通知と法律相談の話を事業所に持って行き『こんな通知があるんだから拒めないでしょ』と交渉したとして、果たして話は上手くいくでしょうか?
僕には、あまりいい話にはならないと思います。
介護保険のサービスは、生活援助や身体介護といった、本人の生活に身近に関わる内容です。
入る前からのもめごとは、入所する本人にとってマイナスでしかありません。
まとめ:市町の公共サービスに、身元保証人等のサービスはない
市町が行っている公共サービスには、身元保証人に関するサービスはありません。
身元保証人が必要なら、
- 家族
- 司法書士や弁護士
- 民間のサービス
になってもらうことになります。
どの方法を選択しても、お金がかかります。
家族であっても、表面に出ないお金がかかりますよ?
だからこそ、これから身元保証人が必要だと思う人は、今からお金を貯めておきましょう。
また家族の身元保証人になりたくないけど、その家族のお金が欲しい人は、
- 自分が身元保証人になって、自分がその人のお金を管理する
か、
- 身元保証人を民間や司法書士、弁護士などの第三者に任せ、自分がお金を管理する
か決断することをオススメします。
でないと、行政に成年後見人を立てられて、本人のお金の管理さえもできなくなるかもしれませんよ?